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「降りてくる思考法」を読んで
ショートスリーパーと呼ばれる人たちがうらやましかった。
もうほんとにがんばらなきゃいかん、という時であっても、私はどうしても眠いのだ。もし寝ずにがんばれたなら、もっといいアイディアが浮かぶのではないか?がんばろう。・・・うーん、 やっぱ無理だ。残念無念!眠るよ。ダメなヤツだよ、俺。という「睡魔への敗北感」に何度遭遇したことだろうか。
いや、知ってるんですよ、いろんなアイディア発想の権威が「いったん考えたのちに別のことをしてたりするとひらめく」と言ってることは。でもこちとらさ、明日の打合せまでに何とかいくつか企画考えつかなきゃならんわけよ。ニュートンだってプレゼン日時決まっててあせりまくりの中で引力発見したわけじゃないでしょ?とか思っちゃうわけさ。
とか言いつつ、まあ確かにこれまで何とか乗り切ってきましたよ。眠った罪悪感満載でさらに言えば眠りすぎて打合せに遅刻気味になってる罪悪感もプラスした上で朝の通勤電車に乗ってたりするとパッとひらめいて。そんなときには「眠っている間に働くという小人が考えてくれたに違いない」と感謝しまくりで。あーもう、今回はまだ思いついてよかったよ。にしたって、毎回毎回綱渡りなのよ、思いつくか不安なのよ、どうすりゃいいんだよ、もう考えてもしょうがないよ、眠ろ。てなことをずーっと何十年も繰り返してきたのですよ、私は。
古巣の先輩である江上隆夫さん著の「降りてくる思考法」を読んだ。
ビジネス上のアイディアをどうやって考えるかというハウツーについて書いてある、まあいわゆるアイディア本なのだが、過去の思考法に関するさまざまな知見とビジネスの実例をベースにして具体的に考えるための環境づくり=思考のフレームやアプローチについてまとめてある。
で、アイディアが「降りてくる」ためには漠然と考えてほっとけばいいんじゃないんだよ、とこの本は教えてくれる。
「脳をせまく小さく使う」ことがコツなのだそうだ。
考えるべき課題を限定するという環境設定をまず意識的にやることが必要で、範囲をせまく小さくすることにより、無意識での思考が進む。ゆえに、「降りてくる」。その最初の限定のための手法が48もこの本にはリストアップされているのである。
その中のひとつの手法として「分解してみる」というのが書いてあるのだけど、この本自体がビジネスのいろいろなものの成り立ちのアイディアを分解して分類しているということになる。
この「分解」さらに「分類」というのは私も以前からCMなどの最終表現物=考えた結果に対してはやってきたものだ。それを“考え方”に対してやってみる、というのはなかなかにおもしろい。いくつかの手法は私にとっては新鮮で、今後実践でも使えそうだ。アイディアにつながる道筋を明確にできることで時間的な無駄も減るかも。ひいては今この業界の課題として挙げられている働き方の改善、なんてことにもつながるかもしれないなあ。
そうだな、脳の中には無意識っていう小人がいて、課題をちゃんと絞ると勝手に仕事してくれるんだな。小人さんの働く環境を作るとこまでやれば、あとは酒飲んで眠っちゃってもいいんだな。と安心した私なのであった。
ん?「酒飲んで、は余計だよ」と脳の奥から聞こえた気がするけど。