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2017 Feb.02

「売れるキャラクター戦略」を読んで

私の今年の目標のひとつは、「ビン詰めの食べ物を冷蔵庫で死蔵させない」である。
いい酒のツマミになるからとカミさんの制止を振り切って、ニンニクの味噌漬けやらなめ茸やら塩辛やらを買っては少しだけ食べてその存在を忘れてしまい、結果ダメにしてもったいないことになってしまうのが私の悪癖なのだ。

 

古巣の先輩であるいとうとしこさん著の「売れるキャラクター戦略」を読んだ。

 

企業や自治体がキャラクターを導入する際、いや、導入するかしないかを判断するところからのプロセスにそって考えるべきことや注意すべきポイントが実に詳細にまとめてある。

 

タイトルに「戦略」と入っていることからもわかるように、キャラクターはデザインして終わり、ではない。その前後についてしっかり考えることが必要なのだとこの本は説く。制作する目的などの背景とキャラクターの設定、生まれた後の育成について明確なビジョンを持ち、魅力的なキャラクターを創り、実際に活用し続けることが大切でそして困難で、ゆえにうまく育った時の効果は大きいのだという。

 

この本には「“即死”“ゾンビ化”させない」というサブタイトルがついている。確かにほこりをかぶったゆるキャラ(の着ぐるみ)とか多そうだもんなあ。私もキャラクターづくりを何度かやったことがあるけれど、今や消えちゃったものもいるし。担当者が変わって路線変更とか予算縮小とかとともに闇に消えるキャラクター、不憫である。紐付いてる商品やブランドそのものが消えることもあるし。自治体だって合併しちゃったらキャラクターの処遇は問題になりそうだ。

 

この「“即死”“ゾンビ化”」ってキャラクターだけじゃなくウェブページとかSNSとかのオウンドコンテンツに共通した話だなあと思う。作ったはいいけれど、その後何もせずじまいになっちゃうケース、あるよなあ。そういえばこの間、ある自治体関係の方から「うちの上司がウェブムービー創りたい創りたいって言ってるんです。どういう効果があるかも考えないで」と嘆くのを聞いた。「近隣の自治体がやってるの見て盛り上がっちゃって」あー、ありそうだなあそれ。「で、ムービー作って終わり。一瞬は話題になるかもしれないけど、それが何にどうつながるかとか考えてないんですよ」なるほどなあ。いろんなところでこういう近視眼的なコンテンツと嘆きが生まれているのであろう。

 

そんな「あーこりゃ即死かゾンビ化だなあやれやれ」という危険を感じた場合、発案者であり盛り上がっちゃってる人(主に上司だろうなあ)にこの本を読んでいただくのがよいのではないかと思う。少し冷静になってアイディアの前後=戦略を練ってもらうことで皆がしあわせになるんじゃないだろうか。

 

さて、冒頭の「ビン詰め」問題である。私も反省したのだ。継続的なビン詰め食品の消費をどう生むか考えよう。まずは、ポピュラーで入手もたやすくゆえに買ってきてしまいがちで家では私しか食べない「なめ茸」に焦点を当てた。消費のパターンはごはんもしくは大根おろしにかける、だ。よし、大根おろしづくりに対する心理的障壁の低減を狙って新たな大根おろし器を導入だ。持ち手つきゆえ大根を楽におろせてかつおろし金が独特でおいしく仕上がるのがあるらしい。これでなめ茸を最後まで食べることができるだろう。ポチっとな。

 

今年ももうひと月が経った。なんと、なめ茸をひとビン食べきった私がいた。いい気になってふたつ目のビンのフタを開けつつ、こいつもゾンビ化させないぞと心に誓うのだった。