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ドイツの敗退と「イノベーションのジレンマ」
眠い。忙しいわけではない。「徹夜しちゃったよへへへー(どや)」みたいな自慢など今やブラック扱いでマイナスな印象形成にしかならない。
ワールドカップである。
前回ブラジルもそうでした、今回のロシアも時差たっぷりなのであり、むしろ就業時間に試合やってないからいいのかもしんないのだけども、23時やら3時やらに複数キックオフされるともう。2画面表示できないテレビを嘆きつつ(最新型買ったのに!)、睡眠時間を確保しつつ、早朝に起きて情報遮断のためにスマホを開かずに録画見てから出勤、なんてやりくりを開発したりもしておるところである。
さて、このブログを書いているのは6月28日であり、今日の夜に日本代表のグループリーグ3戦目を迎えようというタイミングなのだが、ここで注目したいのは昨夜のドイツである。前回の優勝国がグループ4位で敗退、という結果になってしまったのだ。
フランス、イタリア、スペイン、今回のドイツ。ここ5大会のうち、前回優勝国が4つもグループリーグ敗退という結果になってるのだそうだ。
優勝国だからマークされる、ということももちろんあるんだろうが、そんなの強豪国にとっちゃ当たり前だ。今回のドイツ代表を見ると抜けたピースの存在が大きかったのかなあなんてことも思うのだが、まあとにかく、継続して高いパフォーマンスを出し続けることは難しい、ということは間違いなく言えるだろう。
「イノベーションのジレンマ」を思い出した。
ある市場で成功した企業が、その市場のサブカテゴリーが創造されその後そちらが主流になっていくという流れに対応できないという話である。本の中では、鉄鋼やハードディスクが例としてあげられていた。新しい市場ができる際に、当初は規模が小さく、さらに元の市場の商品よりも低いパフォーマンスの商品(に見えるもの)が投入されていることもあり、元の市場の王者は本格的に新市場に参入する機会を逸してしまう。王者ほどイノベーションを起こしづらくなり、気づけば新市場では敗者となっているという話である。
ハードディスクの例で言えば、8インチから5インチ、3.5インチとサイズが小さくなるとともに覇者は変わった。小さくなる当初、記憶容量は大サイズのものより少なかったのだそうで、「コンパクトだけど容量少ないじゃん」「ニーズないじゃん」「投資に見合った回収ができないじゃん」とタカをくくっているうちにそちらが主流になっちゃってた、ということが繰り返されたのだそうだ。
百貨店→スーパー→コンビニ、なんてのもそうかもしれない。売り場面積、品揃え、接客、という点で「質」は下がっているのだけれど、市場の勢いは小さい方に向かっている。
さて、我が広告業界である。新聞15dや雑誌の表4やB倍ポスターなんてところから考えれば、バナーだの検索連動広告だのという面積ちっちゃくて文字数も限られてるものは「質の低い」ものに見える。クリエイターも、そういったメディアやそこにある表現を下に見てる感じがする。が、市場の勢いというのは言うまでもなくデジタルに傾きまくっている。
映像に関してもそうだ。ウェブ上、たとえばSNSのインライン広告で見かけるインフォグラフィックスっぽいムービーなんかのことをついついこれまでの広告=TVCMの「質」の基準から見て「安っぽい」「おもしろくない」と言いがちだ。Youtuberなどが「適当に撮った」ムービーのほうがよっぽどエンゲージングだったりする現状をあえて見ないようにしてるかも、とも思う。
今、これから、必要とされる「質」は常に変わり続けるし、送り手は常に自分自身を変え続けなければならないのだろう。制作体制や手順、アウトプットの「変質」に挑んでいかねば。と、自省する。
最後に、ドイツ代表について。3試合を見ていると、しっかり守備ブロックを作ってカウンターを狙う「質の低い」対戦相手に王者としてどう対処するか、という状態になってしまっていて、その時点ですでに旧文脈側=受けに回っていたのかもしれない。おごっていたかどうかはわからないが、「勝者久しからず」というのは時間の経過のもたらす真理なのだろう。