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「CMを科学する」を読んで〜その2
前回からのつづき。「CMを科学する」の中から気になったテクノロジーの感想を。
ふたつめ、いわゆるニューロマーケティング、脳波測定のテクノロジーについて。
従来おこなわれてきたCMの表現調査といえば、精緻にやったとしてもアイトラッキングとアンケート調査の組み合わせだろう。「何を見ているか」については目線を追うことで無意識な反応が測定されていたのだが、「どう感じているか」は調査対象者が筆記したもの=しっかり意識したものしかわからなかった。これを、脳波の測定によって人の無意識や記憶への影響を明らかにしようという取り組みだ。
この本「CMを科学する」では、電通サイエンスジャムやニールセンの事例を紹介している。CMやPOPなどの刺激への反応を測定していて、CMについてはこれも「視聴質」と同様にどういうカットがどういう反応〜興味の有無や感情の起伏につながっているかが分析できる。企画や演出の“効き具合”を知ることができそうだ。しかも、記憶に関わるところまで(記憶されたもしくは記憶を引き出した)がわかるとのことで、広告の機能を科学的に追求するアプローチとして非常に興味深い。
実務面では、企画の選定の段階で使えそう。Vコンで企画の良し悪しや改善点を知ることができそうだ。あとは、完パケのCMを分析して次のCMへのオリエンをするとか、ターゲットに合わせてネットムービーをアレンジするとかの使い方もできそうだなあ。
メディアそのものが受け手に与える影響の差、たとえば同じムービーを大画面テレビで見るのとスマホで見るのと反応を比較する、なんてのもおもしろそう。
「クリエイティブとテクノロジー」というと、ホンダのアイルトン・セナの走行データを使ったムービー(名作!)のように広告表現の定着にデータを用いた「アウトプットのテクノロジー」がここ数年注目されたと思う。これに加えて今後、視聴質や脳波測定といった、効果をより高めるための「インプットのテクノロジー」をクリエイティブの制作プロセスに活かしていくアプローチが盛り上がっていくだろうと思った。
さて。TOMOGRAPHでは、この脳波測定のテクノロジーにも積極的に関わっていこうと思う(またかい!)。まず、単純に人はどう無意識下で反応するんだろうという興味があるなあ、自分の作ったものに対して。あと、思い込みだけでモノ作りをしなくてもよくなるということが何か新しいアプローチを生むんじゃないかとも思う。こういったテクノロジーが自分の企画プロセスにどう影響するか、楽しんでいきたいものだ。
(つづく)