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「CMを科学する」を読んで〜その1
BICPなどで以前からお世話になっているデジタルインテリジェンス横山さん著の「CMを科学する」(宣伝会議 刊)をいただいて、読んだ。
まあとにかく現在のCMの分析を取り巻くさまざまなテクノロジーの進展に驚くのだが、何回かに分けて気になったテクノロジーについての感想をまとめていきたい。
まず、視聴者に向けたカメラで視聴率ならぬ「視聴質」を測定するというテクノロジーについて。
TVをつけていれば「視聴している」ということになっていたのがこれまでの視聴率の調査手法。これに対してTV側から視聴者に向けたカメラの映像分析(デジカメについてる顔と表情を見分ける技術である)をおこなうことでTV画面に目線が向いているどうかを測定しようというのがTVISION INSIGHTS社のテクノロジー。これによってTVがオンの時に実際に見ているか?という視聴の質=「アテンション」という指標が生まれることになったのだ。
実際の視聴の有無が秒単位で蓄積されていく。つまり、CMのカットごとの注視度合いが測れるということ。CM素材ごとの「アテンション」の分析で、よく言われる表現上の「インパクト」が何によるものなのかを知る手がかりになりそうだ。
さらに、投下期間やフリーケンシーごとに時系列の「アテンション」の変化を見ていくと、CM素材の「鮮度」がわかることになる。ひとつのCM素材がどれくらい飽きられているか=アテンションが下がってきたか、もしくは馴染んで好まれるようになってきたか=アテンションが上がってきたか、ということがわかるのだ。これで、素材切替えの適切なタイミングを見ることや、キャンペーンの目的〜短期の認知獲得なのか長期のイメージ形成なのかなど〜との合致度を測ることができるようになるので、キャンペーンディレクター的な広告会社の営業やCD、広告主の皆さんにはとってもうれしいことになるんじゃなかろうか。
これまでの視聴率が「メディアの露出量の測定」だったのに対し、視聴質は「メディア×クリエイティブ=キャンペーンの到達量の測定」。実務面でいえば、まずは広告効果測定が変わることになるだろう。CM投下量(GRP)とCM認知率の間にある指標としての「アテンション」が計測されることになるからだ。あと、認知の取り方もキャンペーン事後調査ってことじゃなくなるかも。リアルタイムにアテンションや認知を把握して打ち手を変えられるほうがいいだろうから。
さて。TOMOGRAPHは、積極的にこの「視聴質」に関わっていこうと思う。サイエンスオリエンテッドなクリエイティブというのは好むと好まざるとに関わらずこれから比重が高まっていくだろうし、単純に興味がある。演出面でのゴールデンルールって本当にそうなのか、とか、ソニーブラビアの坂を大量のスーパーボールが落ちてくるCM(名作!)のカエルのカットみたいなのって効いてるの?とか、気になるもんなあ。
(つづく)